2。子ネコ4匹の性別の分かれ方

    「タノシサ」は創造性と技術的熟練の関数である 
                        E.C.ジーマン
 
  ずっと一緒に住んでいる2匹の夫婦ネコの会話。
   ネ コ 氏 なあおまえ。今度は何匹子猫が生まれたんだい?    
   ミケ夫人 数えられないの? 4匹よ、お馬鹿さんね。      
   ネ コ 氏 オスは何匹なんだい?                
   ミケ夫人 それが難しいのよ。私、まだわからないの。      
   ネ コ 氏 4匹全部がオスだってことはありそうにないな。    
   ミケ夫人 みんながメスってこともありそうにないわね。     
   ネ コ 氏 丁度1匹がオスかな。                
   ミケ夫人 あるいは、丁度1匹がメスかもよ。          
   ネ コ 氏 計算するのはそんなに難しくないよ、おまえ。それぞれ
        の子がオスかメスかは五分五分だな。てえことになると
        2匹がオスで、2匹がメスというのが一番ありそうだよ。    
        名前を考えなくちゃ。
  ネコ氏の推論は正しいでしょうか。彼の理論をチエックしてみよう。
 
 【予想】子ネコ4匹の性別の別れ方に対する貴方の予想を、次の選択肢
    から一つ選び、符合に〇印を打って下さい。                
              ア.全部同性 イ.3対1 ウ.2対2 
        集計欄  (   )  (   ) (   )

 これは、確率のパラドックス「ネコ家の人々」(M.ガ―ドナ)から抜
粋借用したもの。授業では生徒にこれを原文通り漫画入りで与える。
 すると、「誰か、4人兄弟の人いない?」、「私の知っている4人兄弟
の家庭は3対1だ」、「いや僕の知っている家庭は2対2だ」などと4人
の子供がいる人間の家族の情報を収集し合って、自分の判断を選択肢から
選んで回答する。これを集計すると、全部同性は一番少なくなるが、3対
1と2対2はクラス内の情報交換にも影響されてどちらかが多くなる。         
 オリエンテーリングで、札幌の碁盤目状の町並みを「格子」に抽象して
考えたのと同じく、この問題は、4枚のコインを「モデル」に、人間の家
庭の4人の子供の性別の分かれ、という集団(大量)偶然現象を手元でた
やすく再現できる実験に抽象化できる。つまり
 4人の子供のかわり・・・・・・・・・・・・4枚のコインを投げて
 オスかメスか、一般には男か女かのかわり・・表裏の分かれ方
 家族数のかわり  ・・・・・・・・・・・・何回も投げて
調べる、というわけである。

【4枚のコイン投げの実験】
  4枚の硬貨を同時に、あるいは一枚一枚投げ
 て、表裏の分かれ方を記録して下さい。
  ただし、記録する時は表が出れば1、裏が出れば0と表わすものとす
 る。
    性別の分れ方の集計  全部同性 2:2 3:1    
        (  )班     (    ) (    )(    )
    各回毎の記録      1  2  3  4

 読者も、実際に、4枚のコインを投げ、実験し、記録して頂きたい。こ
こでもオリエンテーリングのときと同じく、生徒たち(2名一組)の実験
データを1クラス分挙げておきます。

 班No. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16  計 比率
全部同性 8 5 2 3 9 7 7 3 5 6 7 5 3 5 6 2 89 0.125
 3:1  19 19 23 21 21 18 20 21 17 18 13 24 21 19 22 29 343  0.5
 2:2  13 16 15 16 10 15 13 16 18 16 20 11 16 16 12 9 248  0.355
  回数  40 40 40 40 40 40 40 40 40 40 40 40 40 40 40 40 680

  違ったコインで実験したデータの合計を求め、比率を計算することは、
本来ならば正しくはありませんが、後日の確率計算との照合の参考に合計
し比率を求めておきます。