「ハノイの塔」と逆さ「ハノイの塔」

 パズル「ハノイの塔」は、世界のパズラーをはじめ、数学者や認知心理学者
にとって尽きぬ魅力があるようです。
 ご存じとは思いますが、まず、「ハノイの塔」についてご紹介します。
 問題1;図のように三本の柱の一本Aに大小の円板が、下が大から上が小に順序
     良く差し込んである。
     次のルールでBあるいはCの柱に移動させるとき、円板の枚数が1枚の
     時1手、2枚の時3手です。円板の枚数が3、4、5枚・・・と増えた
     時、手順はどう増えるか。
  ルール1;一回一枚しか移動させてはならない。
  ルール2;移動にあたっては小さい円板の上に大きい円板を置いてはならない。
 なお、円板の代わりに大小3種の紙片にし、柱の代わりに、紙上にA、B、C三
 ケ所を書けば手軽に自分で試みられる。
    
 問題2;ルールの後半を「次のルールでBあるいはCの柱に移動させるとき、円      板の枚数が何枚増えても最小の移動回数で移動できるアルゴリズムを見      つけよ。」と変えると別の問題になる。
  • ハノイの塔のアルゴリズム(別紙)を読み取る手法いろいろ    人間の行為すべてが、働きかける対象(世界)を何らかの形で把握しよ うとすることを伴う。そして、対象を把握するためのモデル・シミュレー ションの手法は視点( View Point )が違えばさまざまあるのが当たり前 です。にも拘らず、これまでの教科書教育、そのうち特に、数理教育は一 つの手法に拘泥し、経過も一つと植えつけてきた。 その多様さをハノイの塔を例に説明しよう。 視点1 移動手順のアルゴリズムを発見する視点(20')   手法1 最小板のみ色違えして感覚的に移動手順のアルゴリズムを見つける   手法2 紙の板に数字を書き込み移動を記録することでアルゴリズムを見つ ける。   手法3 移動を二進法表現してアルゴリズムを見つける         ーExcelによる表現ー  視点2 手順の数を求める定式化(法則を見つける)の視点(20')   手法1 手順の数の列を見つける   手法2 手順の数列の法則を見つける   手法3 数学法則を見つける(関数・漸化式)

    マジックの例

  • PCによる表示の問題点(B・B)を克服するために    数あてゲーム1  数あてゲーム2        ->-> 2進法の意義 と 2進法カード作成による2進法の理解
  • 数あてゲーム3 と 2進法カードによる検索 は自作に委ねる  問題3;逆さ「ハノイの塔」を説明します。   逆さ「ハノイの塔」は、上図「ハノイの塔」とは大きく違っていて、一番大き   い円板が上で、小さいのが下に積み上がっている。つまり、順番が逆さである。   また、問題もルールもつぎのように違う。

     <問題>は、三つの深皿を最初にあった場所から一つの場所に一つの深皿が左か   ら右に大、中、小の順になれば終わりとした。円板(紙片)では見えなくなる   ので折り紙で大中小3つの深皿を折って使用した。   ルール1;一度に移せるのは、一つの深皿だけ。   ルール2;深皿が移せるのは、移した結果その深皿がその場所に最大の深皿に        なる場合に限る。   ルール3;場所に置かれた深皿のうち、最大のものだけを他の場所に移せる。   実は、この<問題>を板と深皿の両方で行った場合、難しさの点で大きく違って くる。円板(紙片)の場合は深皿のおよそ2.5倍時間がかかり、およそ2 倍動かし、 エラーは6倍にもなるという。形状が影響しているという。  教師が、教材・教具を工夫するときに考えなければならないことを教えられる。