1年生監督対決、開幕4連勝で原巨人が制す!!
−プロ野球日本シリーズを「数学する」− 1.パスカルの三角形というツール 1 ・・・・・・・・・・・・0 1 1 ・・・・・・・・・・・ 1 1 2 1 ・・・・・・・・・・・2 1 3 3 1 ・・・・・・・・・・3 1 4 6 4 1 ・・・・・・・・・4 1 5 10 10 5 1 1 6 15 20 15 6 1 上左の三角形状に並んでいる数列は、パスカルの三角形と言われている。この数列 がどうして出来上がったかは「街角オリエンテーリング」での数学化・抽象化で明ら かにしました。 右端に書いてあるのは0段目、1段目、2段目、・・・・を示す。7段目がどのよう な数列になるかおわかりだろうか。 両端以外の各数は、一段上の左上の数と右上の数の和に等しい。各行の数は中央に 関して左右対象である。 このパスカルの三角形がプロ野球日本シリーズを「数学する」ことに挑戦できる数 学的ツールなのです。 2.パスカルの三角形と勝敗分析の山岸の四角形 ジャイアンツとライオンズが実力伯仲しているとして7戦戦い、どちらかが4戦先 勝で勝ちとなり、これ以上の試合は行わない。 ここのところがパスカルの三角形と比較したとき異なるところであり、パスカルの 三角形の左下と右下の隅はいらなくなった四角形で考えれば良い(下左図参照)。 下図右の勝敗表は、毎日の試合によって起こりうるすべての状況を表わしている。 可能性ある試合数 可能性ある勝敗表 1 0:0 1 1 1:0 0:1 1 2 1 2:0 1:1 0:2 1 3 3 1 3:0 2:1 1:2 0:3 1 4 6 4 1 4:0 3:1 2:2 1:3 0:4 5 10 10 5 4:1 3:2 2:3 1:4 15 20 15 4:2 3:3 2:4 35 35 4:3 3:4 70 4:4 勝敗表最上段の0:0とはジャイアンツもライオンズも1勝もしていない試合前の状 態を示したもので、両方が4勝したものはどちらかが勝って優勝してしまって実際に は行われない試合を意味し参考に書いたもの。 3.プロ野球日本シリーズの確率計算 毎日の試合で起こりうる勝敗を書き上げたのが上右図。昨夜の第1戦は、ジャイア ンツが勝ったので、ライオンズ対ジャイアンツの対戦は(ライオンズ:ジャイアンツ) と書くと、 (0:0),(0:1)という経過を辿ったことになる。 このような対戦前の経過の可能性は全部で70通りあり、どちらかが4勝すればシ リーズは終わるので、4:2や3:4などの、一方が4の勝敗は最終結果を意味し、 特に4:4は架空のものですがこれも含んでいます。 勝敗表の各々に対応する確率を計算すると次のようになります。 可能性の確率計算 1 1/2 1/2 1/4 2/4 1/4 1/8 3/8 3/8 1/8 1/16 4/16 6/16 4/16 1/16 4/32 10/32 10/32 4/32 10/64 20/64 10/64 20/128 20/128 勝敗の一方が4の最終結果を表す勝敗表に対応する確率計算は注意を要する。その 確率、例えば、4:2で勝負がつく場合の確率計算はパスカルの三角形ならば15/ 64になることになりますが、日本シリーズの確率計算では10/64となる。なぜな ら、その確率計算では、どちらかのチームが4回勝てばシリーズが終わってしまうの で、4:0で勝負がつく1通りと、4:1で勝負がつく4通りの計5通りの場合を勘 定に入れてはならないので分子が5少なくなって10/64になるわけです。同様に、最 終結果を表す右下と左下の確率の分子は、パスカルの三角形の対応する場所に書かれ る確率の分子とは違ってくる。また、左下の総和(1/16+4/32+10/64+20/128 =64/128=1/2)はライオンズの勝つ確率、同様に、右下はジャイアンツの勝つ確 率、その和つまり1はどちらかが優勝することを意味します。 これでプロ野球日本シリーズの確率計算の枠組みはできたことになる。しかし、こ の計算は第1試合がはじまる前までしか通用しないもので、第1戦の勝敗が決まると また違った計算をしなければならなくなる。 4.1戦毎に変更を要する勝敗表(確率計算) 第1試合はジャイアンツが勝った。そうすればジャイアンツが第2試合に勝ってシ リーズに勝つ確率は大きくなるのでライオンズ0対ジャイアンツ1のところを確率1 としてもう一度計算しなおさなければならない。(ライオンズ:ジャイアンツ)と読 んで下さい。 ジャイアンツ1勝後の可能性ある勝敗表 ・ ・ 0:0 ・ 1:0 0:1 ・ 2:0 1:1 0:2 ・ 3:0 2:1 1:2 0:3 4:0 3:1 2:2 1:3 4:1 3:2 2:3 4:2 3:3 第1試合がはじまる前までの勝敗表を右下へ一つ移動するだけです。しかし、どち らかが4勝すればシリーズは終わりますので、ここでも4:0や4:2など一方が4 の勝敗はジャイアンツ4勝、1:3、3:3など一方が3の勝敗はライオンズ4勝と なりますので架空のものを表すということになります。 この勝敗確率の計算は、試合前の、勝敗の一方が4の最終結果を表す確率計算と同 じように考え計算するとつぎのようになります。 ライオンズ ジャイアンツ ・ ・ 1 ・ 1/2 1/2 ・ 1/4 2/4 1/4 ・ 1/8 3/8 3/8 1/8 1/16 4/16 6/16 3/16 4/32 10/32 6/32 10/64 10/64 ジャイアンツが1勝した時点で、同様に戦力が互角として、ジャイアンツとライオン ズの優勝する確率を計算すると次のようになります。 ジャイアンツが優勝する確率は42/64。ライオンズが挽回して優勝する確率は22/64 だから、ジャイアンツは2倍弱大きくライオンズが優勝する確率を上回ります。 5. ジャイアンツ2連勝後の可能性ある勝敗表 第2試合がはじまる前の勝敗表を更に右下へ一つ移動するだけです。 この勝敗確率の計算は、試合前の、勝敗の一方が4の最終結果を表す確率計算と同 じように考え計算するとつぎのようになります。 ライオンズ ジャイアンツ ・ ・ ・ ・ ・ 1 ・ ・ 1/2 1/2 ・ ・ 1/4 2/4 1/4 ・ 1/8 3/8 2/8 1/16 4/16 3/16 4/32 4/32 ジャイアンツが2連勝した時点で、今まで同様、戦力が互角として、ジャイアンツと ライオンズの優勝する確率を計算すると次のようになります。ライオンズが挽回して優 勝する確率は6/32に対し、ジャイアンツが優勝する確率26/32で、ライオンズの4倍 強大きく、ライオンズが挽回して優勝する難しさを表しています。 ちなみに、これまでの日本シリーズにおいて、初戦から2連勝したチームが優勝した 統計的確率は0.77。上記の数学的確率計算では、ジャイアンツが優勝する値は26/32の 約0.8です。 6.ジャイアンツ3連勝後の優勝確率 ライオンズには難しい逆転をめざし、第7戦まで持ち込んでファンを楽しませて欲し いものです。 ライオンズ ジャイアンツ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 ・ ・ ・ 1/2 1/2 ・ ・ 1/4 1/4 ・ 1/8 1/8 1/16 1/16 ジャイアンツとライオンズの優勝する確率を計算すると次のようになります。 ライオンズが挽回して優勝する確率は1/16に対し、ジャイアンツが優勝する確率15/16 で、ライオンズの15倍で、ライオンズが挽回して優勝することの難しさを表している。 これまでの日本シリーズにおいて、開幕3連勝したチームが優勝した統計的確率は 11/13=0.85。数学的確率計算では、ジャイアンツが優勝する値は15/16の約0.94です。 ちなみに、ライオンズが挽回して優勝する統計的確率2/13は0.15、数学的確率はわずか 0.06。 ライオンズファンの皆さんには失礼な言い回しですが、今日、さしあたって、次の「3 勝1敗時点」の計算が出来る状態を実現して欲しい。私の講義を受講する福井大学々生諸 君が一戦毎に確率変化の計算と優勝確率の変動を計算しており、明日がその講義日。4連 敗では単純過ぎるのです。 注記:以下は今晩の結果を待って変更します。 7。3勝1敗時点でのジャイアンツの優勝する確率とライオンズの勝敗確率 今年の日本シリーズはジャイアンツが4連勝であっけなく終わってしまった。 そこで、ここでは、ジャイアンツが3勝、ライオンズが1勝となり5戦目にまで 優勝がかかった、と仮定し、今まで同様、3勝1敗時点でのジャイアンツの優勝す る確率とライオンズの勝敗確率を計算すると次のようになります。ライオンズが挽 回して優勝する確率は1/8と小さいのに対し、ジャイアンツ優勝の確率は、右下の 確率の総和7/8はライオンズの7倍と大きく、ライオンズが挽回して優勝する難し さを表しています。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 ・ ・ ・ 1/2 1/2 ・ 1/4 1/4 1/8 1/8 6.力量差がある場合の計算:再び、パスカルの三角形応用 結果論ですが、両チームには力量差があったと計算すべきであったようです。 故障者や選手起用などの条件で試合毎に差を考慮しなければならない場合、あるい は明らかに技量に差があって、一方が優勢で、各試合に勝つ確率が3/5であることを 誰もが認めるとしましょう。 計算すると次のようになります。54/125は一例です。後は省略します。 1 2/5 3/5 4 /25 12/25 9/25 ・ ・ 54/125 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 7.試合毎に力量差が変わる場合の計算(省略)